スクール・エイド・ジャパン(SAJ) NPO法人SAJの過去の実績です


2008年9月27日から10月26日までの30日間、カンボジア調査に行った際のスタッフレポートを紹介します。


2008年後期のカンボジア教育支援調査に9月27日から10月26日まで行って来ました。 08年前期建設校の完成検査と贈呈式・後期建設校の入札説明会と建設校の決定、学校への新規学校建設の伝達・新規学校調査・給食実施校の問題調査と解決・新規給食実施校への実施説明会等を行いました。

▼孤児院「夢追う子どもたちの家」訪問
10月1日から3日までの三日間、「夢追う子どもたちの家」を訪問しました。渡邉理事長をはじめ、支援者のワタミの介護・清水社長、香港ワタミ・黒澤社長、盈進会病院・原田事務長・木村医師・藪上薬剤師が訪問し、子どもたちの歓迎を受けました。
子どもたちは、入園して半年間習った民族舞踊「歓迎の踊り」「豊作の踊り」を披露しました。民族衣装を着てしなやかに踊る子どもたちの舞姿はびっくりするほど上手でした。 また、子どもたち全員を二日間に渡って木村医師が健診してくれました。田中園長も藪上薬剤師に薬の説明を受けました。この他、支援者の方々にはポルポト時代の刑務所・処刑場を見て貧困の原因の一部分を理解していただき、ゴミの山で働く子どもの姿も見ていただきました。




▼タイ国境の紛争で校舎建設1校は延期―08年後期8校を建設予定―
10月13日にバッタンバン州コンムリエン郡のタイとの国境に近いトウタル小学校に[校舎建設の伝達と村の学校建設促進委員会の協力]について話し合いに行きました。バッタンバン州都から凸凹の泥道を2時間走り、着いた学校は静まりかえっていました。子どもの声一つしません。教室には誰もいません。校長先生には連絡をしてあり「皆で待っている」と返事ももらっているのに、子どもも先生も建設促進委員会の人も村人もいませんでした。村人が10年前に古材で建てた2教室で3部授業をしているので『校舎建設を切望している』学校です。
校長先生には電話もつながりません。しばらく待っていると、村人が1人やってきて「タイ国境で紛争があり、先生が皆逃げてしまったので、学校はやっていない。いつ再開されるか分からない。村人で逃げた人もいる。」と話してくれました。
話し合いも出来ないので、校舎建設は延期することにしました。現地のTV・新聞で報道されたことですが、タイ国境に近いヒンズー教の遺跡「プレハビヒア寺院」がカンボジアの申請で世界遺産に登録されたことに反発した国が軍隊を派遣して同寺院を占拠し、その際カンボジア軍と交戦になり死傷者が出たとのことです。アンタックが仲裁に入っていますが、両軍の武力の対峙は続いています。国境の町では住民が逃げ出し、商店は略奪を恐れて商品をバッタンバンに運んでいました。州教育局に相談に行っても担当者は[先生が逃げ出し授業がされていない学校の調査]に追われて留守でした。SAJでも初めての経験でした。
他の後期建設7校は無事に伝達と契約が終わりました。




▼SAJ建設校舎・100校記念校舎は「プレイスワイ中学校・2階建て10教室」
SAJが2001年10月コンポンチュナン州トモケオ小学校に校舎1棟5教室の建設を始めて以来8年が経ちました。07年度末までに91校の校舎・学校を建設し、08年9月に100校目の校舎建設を始めました。
プレイスワイ中学校はバッタンバン州の国道5号線に面した設立3年目の中学校です。設立時にアジア開発銀行の融資で建てた5教室がありますが、700人を超える生徒が勉強する教室が足りません。中学校は全日授業で週33時間の授業が原則ですが、教室不足のため小学校の4教室を借りて2部授業を行なっています。決められた全ての教科を教える時間が確保できないので、国・算・英・地理・歴史・生物・科学など高校受験に必要な授業だけを教えているそうです。校長先生以下授業に大変熱心で、先生の教える声がどの教室からも聞こえてきます。SAJでは全学年全日授業が出来、全ての教科が教えられるように10教室の建設を始めました。学校建設促進委員会でも村人からお金を集め、校地の埋め立てをして協力してくれました。


▼08年前期建設校の贈呈式
校舎1棟建設支援をしてくださった宮口様が、完成した校舎の贈呈式に出席してくださいました。事前に老朽化した校舎や倒れてしまった校舎跡を見学して、日本の学校とのあまりにも大きな違いに驚き、涙を流されていました。贈呈式では、「私たちはお金持ちではないけれど一生懸命働いてこの学校を建てた。現地に来て前の学校を見て驚き、勉強している子ども達が気の毒になった。今日この学校が出来て、子どもたちの喜ぶ笑顔と村人の感謝の心に触れて、私も大変幸せな気持ちにさせてもらった。ありがとう。この校舎を大事に使ってください。先生方は子どもたちに良い教育をしてください。子どもたちは一生懸命勉強してください。親は子どもを必ず学校に通わせると約束してください。」と話されました。式後、村のお爺さん・おばあさんから「ありがとう、有難う」と涙と握手の歓迎を受けました。
この他、建設中の2校を除き、6校のカンボジア政府への贈呈式が終了しました。




▼朝給食実施校のモニタリング(実施状況の調査)と新規実施校への説明会
今年5月カンボジアWFP本部に、すでに申請済みのポーサット州での給食実施について相談に行った折、現在SAJとWFPの協同事業として行なっているコンポンチュナン州での給食実施に「問題が起きた学校がある」と聞かされました。問題は解決しましたがその際 「SAJでも給食実施校のモニタリングをしてくれ」と頼まれました。
そこで10月の教育支援調査では「給食実施校の実施状況の調査と、給食開始校への制度説明の徹底」を図るため10日間の日程を組み全校を調査してきました。調査の結果、3校で子どもたちの給食以外の米使用や給食実施日数の不足という問題が発生していたことが明らかになりました。調査結果を受けて、残念ですがうち2校は給食が中止となりました。1校は、村の長老や村長、学校の校長や先生も給食の継続を望んでいることを記述した給食再会の嘆願書とSAJ調査の結果を踏まえWFPと話し合をした結果、給食が再開されることになりました。
ポーサット州のSAJが校舎建設した小学校のうち14校で給食実施が決定しました。14校を4地区に分け、郡教育局事務所にて学校の校長先生を対象に説明会を開きました。「給食用の食材は全量子どもの給食に使い、全量子どもに食べさせる」「4年〜6年生女子と2割の男子に与える持ち帰り給食は15Kg全量を与える。どのような理由があっても減らすことや他の子どもや人に与えてはいけない」等。給食開始にあたって校長がしなければ成らないたくさんの仕事や給食担当教員の仕事、特に食材の使用量と残量が一致していなければならないこと、調理人の確保や村人の協力、違反した場合の罰金など、詳しく説明し質問も受けました。
SAJでは不祥事防止のために、コンポンチュナン州とポーサット州の27校のモニタリングを毎月実施します。学校の相談も受けるなど給食実施上の指導にも力を入れます。他にも、カンボジア事務所の仕事も多くなってきましたので、現地職員を1人増員しました。





▼新規学校調査
カンボジア・20校(タケオ州・コンポントム州・プレイベン州・コンポンチュナン州・ポーサット州・バッタンバン州・バンティミエンティ州)
各州教育局職員に案内していただき、20校を調査してきました。調査した学校の中には1部授業をしている学校もありました。SAJでは、ヤシの葉校舎や老朽化した校舎、教室不足の学校の建設を優先しているため、1部授業の学校は建設の対象からはずしています。その結果建設の対象になる学校は、12校になりました。調査を重ねて、SAJ定例会で検討して建設したいと思います。







▼校舎建設の入札と建設会社の決定
10月1日、SAJ新事務所で建設会社5社に入札に関する説明をしました。2008年度後期建設校は8校で、学校名・所在地・建設教室数と付属施設を説明しました。設計図は事前にお渡ししてあり、使用資材・瓦・建具等は従来通りのSAJの規格を守る事を伝えました。見積もり提出期日は10月10日に事務所に持参していただけるようにお願いしました。
10月21日、建設会社と建設契約を結びました。10日間の間に各社の見積もりを分析(鉄筋の太さと使用量・セメント使用量・レンガ使用量などと単価を各社毎に分析比較)し、建設会社にSAJの意見を申し出、価格の交渉をして学校毎に建設会社を決めました。


▼孤児調査
今回も州福祉局や政府機関からの孤児情報は無く、学校調査で訪れた学校で孤児の有無を聞き、またSAJが建設した学校の校長先生からの情報をいただいて孤児の家に案内してもらいました。
調査した孤児は13人です。訪ねた州は5州で1日がかりで行って1人の孤児に面接した日もありました。13人中7人の入園が決まりました。本人の入園希望はもちろん養い親の承諾も得て、校長先生や地区長さんに入園の同意を受け、保証人になってもらいました。
しかし残りの6人については、養い親と話し合いを重ねましたが同意が得られませんでした。本人は入園を希望していて、近所に住む人たちも集まって来て養い親を説得してくれましたが、同意は得られず入園できませんでした。傍で見ていた孤児は、黙って下を向いて居ました。孤児にかける言葉がありませんでした。次回もう1度話し合いに行こうと考えています。



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